09年活動記録-第6期-

ガリレオ賞受賞へ

第6回総会開催

平成21年 7月26日(日) 11時15分~14:時10分
県南同窓会が前年に続いて緑豊かな阿見町・茨城大学農学部内の「こぶし会館」にて開催されました。

Ⅰ部 講演会:今回は、連携事業の一環として学生の皆さんが取り組まれたプロジェクトの中からS20年度の優秀プロジェクトとして表彰を受けましたテーマについて、茨城大学の現役の学生さんに活動成果を発表頂きました。
① 「光害対策プロジェクト=暗い夜空を求めて=」
  発表  理学部 理学科 地球環境科学コース 3年次 檜木 梨花子
       理学部 理学科 学際理学コース      1年次 加倉井 沙知

 

② 「茨大生による地質を活かした地域貢献活動~ジオパーク設立を目指して~」
    発表  理学科 地球環境科学コース         4年次 細井 淳
       理工学 研究科 地球生命環境科学   M2   伊藤 太久さん
             理学部 理学科 地球環境科学コース 3年次 花川 和宏

このプロジェウトはH19年-20年度と優秀プロジェクトとして評価されたものですが、日経の「日経グローカル」110号(09年10月20日発行号)の特集『全国大学の地域貢献度ランキング』でも、この内容が掲載されまた、茨城大学の地域貢献度ランクが前年の73位→11位へと大幅なランクアップした原動力となったプロジェクトです。
2部 総会-懇親会 12:15~14:10 -1F食堂-                  
第6回県南同窓会開催にあたって、赤津俊幸(文理・人文学部県南同窓会会長)氏より挨拶。 

 皆さん、政治も経済も深刻な状況で、なにかとご多用のところを、ようこそお集まりいただき本当に有難うございます。
 この会も時、おりしも、母校が法人化した時と同じ創立で、今回で6回目を迎えました。振り返って見ますと、当初は県南文理人文学部で始まりましたが、翌年から他の学部にも広く呼びかけを行い有志の皆さんに参加いただいておりましたが、18年の9月には茨城大学同窓会連合会も設立されました。偶然でしたが、なにか県南同窓会がその魁をしたような気になったりしました。
 本日は来賓として水戸本部より、松田 智明副学長をはじめ、茨城大学同窓会連合会の堀川賢壽会長、文理人文学部同窓会の野口芳男会長並びに糟谷政和幹事長代行に馳せ参じて頂きまして感謝いたしております。本当に有難うございました。
 さて母校もいま地域から頼りがいのある大学をめざして鋭意努力しております。そんな中で今回は地域との連携をテーマに研究されおります茨大の学生の皆さん方にその研究成果を発表頂くことと致しました。この同窓会もこうした学生や先生方の研究等地域連携事業活動へのサポター的な役が果たせたら!と考えております。
 われわれのこの同窓会は年に一度の集いの場ですが中には同期の者がいないとか話す相手がいないのでと次回から出なくなる人も居られます。しかし、学年や学部を異にしても、この茨城のおなじ山や海を、同じ河や野を見、同じ土の匂いを嗅ぎながら共に学び、同じ校歌を歌ってきた立派な仲間です。
 このような集まりの中からお互いが響きあい、楽しい話をしたり聞いたりするのは人生における財産だとおもいます。他人とのかかわりは脳の栄養源であると今、100万部突破の「脳を活かす生活術」の著者、茂木さんも書いておられます。
 最後に申し遅れましたが、今回は教育学部のOBの方々に多数参加頂きました。教育学部の同窓各位には教育を通じて地域との繋がりも大変深い方々が沢山居られます。多分これからのこの県南同窓会を盛り上げる中核になって頂けるのではと期待しております。
 また、理学部同窓会からも参加頂き会を盛り上げていただきまして、本当に有難うございました。これを機に今後ともよろしくお願いしてご挨拶といたします。
     
続いて、来賓の松田智明副学長、堀川賢壽同窓会連合会会長より祝辞を頂きました。
松田副学長からは茨大の現状をまた堀川会長からは各同窓会の活躍についてもご報告頂きました。続いて野口芳男文理・人文同窓会長の発声で乾杯!となり懇親会へ。

 はじめての出席者を中心に自己紹介をして頂きながら、ビールの他屋口氏から差入れ頂いたジュース、赤津&石嶋氏よりの日本酒も加わりほろ酔い気分になったところで、地元のアルピスタ・古江かをりさんの演奏を楽しんだ後、赤津会長より寄付頂いた「茨苑」の抽選会。なお、当時農学部長としてこの「茨苑」の企画に深く係られた松田副学長殿からは、経緯や特徴他詳細なご説明を頂きながら、残念ながら選に漏れた方は「鈴木屋」さんで購入を!となって、土浦他で合唱団を指導されている沼田敞子さんの指揮で校歌斉唱。
 教育学部県南代表幹事の小野瀬氏の閉会の辞で〆に。


松田智明副学長
 

 

 

 

 
               アルパを聞きながら

校歌斉唱~〆へ

校舎をバックにこぶし会館の前で

”わがまちのたからもの”展

 文理・人文県南同窓会も毎年協賛しております、”わがまちのたからもの”展がウララビルで開催されました。
 これは地域の文化財や身近な自然環境のすばらしさを見つめなおし,それらを未来へと引き継いでいく気持ちを育てることを目的として,土浦ユネスコ協会を通じて小・中学生を対象に「わたしの町のたからもの」をテーマとした絵画作品の募集しその入選作を展示するものです。
 なお、入選作品をまとめたカレンダーが作成され販売される予定です。
  ↓はその中の1点「かぶとむし」 真鍋小 萩原隆さんの作品<土浦市HPより>

檜木梨花子さん”世界天文年2009エッセイ賞”で大賞「ガリレオ賞」を受賞

 7月の同窓会の際に講演して頂きました、理学部の檜木さんが「『光害対策プロジェクト』という活動を広く知ってもらいたい!と世界天文年のエッセイ賞に応募され、見事大賞「ガリレオ賞」を受賞されました。  詳細は→ 世界天文年2009エッセイ賞

 心からお祝い申し上げると共に更なる研究成果を期待したいものです。
 なお、入賞作品は、2010年度に打ち上げ予定の金星探査機「あかつき」に搭載されるプレートに全文掲載される予定とのことです。
  ↓受賞作となったエッセイ”星、届けます”<世界天文年2009HPより>
星、届けます     檜木梨花子

 水戸駅南口ペディストリアンデッキ・・・
 煌々とした駅ビルの照明に囲まれた広場が、私のフィールド。

 手元ははっきり見え、昼間の様。
 数値で表すと、空の等級は16等級・・・。
 暗い山奥と比較したら理論的には100倍以上の明るさ。

 ミュージシャンのキーボードやギター、歌声は流れ、スケボーに興じる人々や、会社や学校帰りの急ぎ足。
 巨大なスクリーンには流行りの音楽や映画の宣伝が流れ、電車の音が響く・・・。

 そこにバスで運んだ望遠鏡と双眼鏡を設置。
 周囲からの異様さと好奇心が入り混じった視線。足を止める人々・・・。

 「望遠鏡のぞいてみませんか?」

 それでも見える星はある。
 月、木星や火星等の惑星、夏の大三角形、冬はオリオン座、すばる・・・。

 望遠鏡をのぞけば、月には山奥で見るのと同様にたくさんのクレーターがある。
 木星には白と赤茶色の縞が数本確認出来、衛星は並んでそれに寄り添う。
 オリオン大星雲がひっそりとした美しさを見せ、すばるは宝石の様に青々と輝いている。

 大口径の望遠鏡で見るような、立派な星団、星雲は見えないけど。
 12cm屈折は少し色収差があるけれど。
 双眼鏡はビルの覗きかと思われそうになったけど。
 多くの人の発見や驚きのへの第一歩になれたのなら・・・。

 『2009年・世界天文年』という人々の天文への意識が高まっている今だからこそ。
 自分も少しの勇気を持って。

 「望遠鏡、のぞいてみませんか?」

 その一言を掛け易くなったのではないかと思う。
 会社帰りのスーツを着たサラリーマンの団体、女子高校生や映画を見に来たカップル。
 上京を夢見て路上に立つミュージシャンや、部活帰りの疲れ果てた中学生。
 仕事を終え居酒屋に向かう若者や、既に少し酔っぱらったおじさん。
 広場の清掃や警備の方までもが望遠鏡をのぞいた。

 様々な年代、様々な背景知識、様々な興味・・・。
 それに応じて星を紹介する・・・。

 「今望遠鏡で見えているのはあの星ですか?」
 一緒に指を指して確認する。
 「あの一番明るい星ですよ」

 望遠鏡で覗いた木星に対して、
 「横に並んでいるのが、ガリレオ衛星で・・・」
 「衛星って何?」
 「地球の周りには月が回っているよね。その様に惑星の周りを回っているものですよ」

 生まれて初めて望遠鏡をのぞく人・・・。
 それぞれみんな、驚きを見せる。
 「え、何?この周りに一直線に並んでいるの!?」
 「いつも写真で見る様な縞がある!」
 「月のクレーターってこんなに地球からはっきり見えるんだ!」・・・。

 驚きと好奇心が入り混じった声。
 言ってしまえば、みんながガリレオになった瞬間であった。

 普段望遠鏡をのぞく方はあまり感動しない恒星を見て、色の違いに感動する人、
 「ガリレオ衛星、ガリレオ衛星・・・アルビレオ、アルビレオ・・・」
 と聞き慣れない言葉を何回も反復して忘れないようにする小学2,3年の子、

 「ガリレオ?地動説の人?」
 「いや、それはコペルニクスだよ。」
 と話す高校生。

 ISSや、日によって姿を変える月の紹介から、不変だと思っていた宇宙の様子が短いスパンでも様相を変える事を認識し、新しい知的発見をする人もいる。
 小さな口径の望遠鏡から大宇宙や銀河の果てへ思いを馳せる人もいる。
 誰でもきっかけさえあれば、敷居などそこには無く、踏み込むことが出来る。
 その小さな好奇心や、知識欲、興味に応じてあげる事で誰でも楽しめ、小さな天文学者になれる。
 いつの間にか出来る列を見て、いつもそう思う。
 この場所で1000人近くの人に星を見てもらい、それより多くの人と天文について語った。
 星が見えやすい場所を聞いたり、光害についての問題も話し合ったりした。

 「生まれて最初にある記憶が、百武彗星の記憶なんですよ。」
 「ハレー彗星を昔、見に行きました。」
 「この前のオリオン流星群、少し観測したんですよ。」
 「宿題の月の観察はいつごろやればよいですか。」
 「宇宙人っているの?」
 ・・・。

 世界天文年の今年、私も少し背伸びして。
 長野、富士山、北海道の旭岳、果てにはマウナケアの山頂4200m。
 目を疑うような濃い天の川や、肉眼でもはっきりとしているアンドロメダ銀河等を見た。
 横になり、星に包まれ、深い宇宙に吸い込まれていくような感覚を得た。

 暗い山の中で、一人望遠鏡とカメラをセットしてじっと観測する天体観測。
 明るい光の中で、急ぐ人達の中で大勢に見せる天体観望会。
 対極にあるその両方を経験して、根底に残っている思い出は・・・。

 意外にも望遠鏡をのぞいた多くの人に笑顔と感動を与えた、木星や月という存在であった。

 そして駅で望遠鏡をのぞいた、たくさんの人の表情だった。

 許可書類を提出し、申請書を頂く警察の方とは顔なじみになり、
 「あんな所で見て、何か見えるのかい?」
 であったのが、
 「晴れると良いね」
 に変わり、ミュージシャンの方とは、コラボレーションするようになった。
 「路上ライブ付きの観望会だね。」に対して、
 「いえいえ、観望会付きの路上ライブですから・・・」と答える私。
 曲は天文にちなんだ曲が自然と流れる。

 曇っていても望遠鏡に興味を示す人も多く、
 「のぞけば何か見えますか?」
 雲の隙間をじっと一緒に待つ。望遠鏡で撮影した写真を見て、
 「こんなに良く見えるの!?また晴れた日に来ます。」
 と言い、リピーターになった駅の近くの予備校の学生。

 少しでも身近に星を感じてもらえたなら。
 少しでも天文年を盛り上げる事が出来たなら。
 たくさんの人と同じ空を見上げる事が出来たなら。
 感動を共有出来たのならば・・・。

 「今度はいつやりますか?」
 「また来ますね。」
 「次はもっといろいろ見せてもらおう・・・!」

 あなたに星を届けますよ。
 駅ビルに囲まれたこの場所に。


12月5日 兵庫県公館での世界天文年エッセイ賞受賞式/前列中央が檜木さん

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