菊池龍三郎新学長の就任メッセージ

力強く存在感があり地域から頼りにされる大学をめざして

学長  菊池 龍三郎

 9月1日付で国立大学法人茨城大学学長に就任しました。就任に当たり、教職員や学生のみなさん、さらに広く地域の方々に対し、私の考えの一端を述べさせていただきます。

 茨城大学は、地域において存在感のある大学をめざします。地域を支えられる大学、地域の方々が「自分たちの茨大」と実感し誇りにできるような大学をめざします。なぜならば、そうすれば地域は必ずや私たちの大学を支えてくれるはずだからです。
 当面は第1期の中期目標・中期計画の達成に全力を尽くします。そのためにも、いま私たちに求められているのは、大学の衆知を結集することです。私は、教職員が大学の将来についてつらいことも希望も一緒に分かち合い、大学経営に参加していることが実感できる開かれた大学経営に努めます。
 質の高い教育を提供できるかどうかが、今後はそのまま大学の将来に直結します。茨城大学の教育目標をわかりやすく言えば、世の中に出たときに自分で考え方向性を決めることのできる教養としっかりした社会性を身につけている人材、グローバル化する時代において積極的に世界に出ていって自分の可能性を広げられる人材、働く場においては自分の力を充分に発揮して組織のために頑張り頼りにされる人材、そしてそうすることで母校である茨城大学の後輩達の道標になれるような人材を育てることです。
 私たちは、学生を「厳しくかつ丁寧に教育」し、その中で努力すれば必ず報われるという私たちの大学教育の明確なメッセージを送り続けたいし、そうすることでまず教育面で全国有数の国立大学を目指したいと考えています。
 専門教育の充実を図ります。専門教育のカリキュラムは、今後ますます国際規格化とその基準の達成度をめぐる競争が激しくなることから、それへの迅速な対応を図ることは当然です。加えて茨城大学は、その中でなお個性的な試みにも挑戦します。
 国立大学の使命はすぐれた研究にあります。総合大学としての本学が擁する幅広い分野にわたる基礎研究や応用研究、高度の専門的な研究は、国際的にみても全国的にみても決して遜色はありません。今後はこれを本学全体の発展の推進力として再組織化し、国際的レベルでの貢献から、国内的レベルでの貢献では特に地域の発展や再生にかかわる貢献に至るまで、研究の成果をさらに広範囲に役立てることにより、本学の評価を高め、本学への信頼感を増すことが課題です。しかもそれをただ漫然と期待して待つのではなく、戦略的政策的に追求します。
 大学教育の成果を就職等の出口に結びつけることは大学の将来に直結するため、本学のポリシーに合う入学者を多く確保し、厳しくそして丁寧に教育し、学生に確かなキャリア形成を保証します。
 さらに研究の成果を一層社会貢献に生かし、特に地域において存在感のある大学をめざします。今後は総合大学としての力を発揮して、地域が抱える課題や可能性にしっかりと焦点を合わせ、連携する分野の拡大とその内容の充実に努め、自治体や住民、さらに企業等から頼りにされる大学をめざします。
 最後に多様な文化づくりと発信力の強化に努めます。東京などのメジャーな文化の受け手に甘んじることなく、地域そして広く社会全体への文化発信に努めます。そのためにも、ここの地からさまざまな文化を「茨大文化」として発信できる環境づくりを進めます。

 今後、特に国立大学は、とりわけ社会貢献活動の充実のためには、地域からの広範な支持と人的・物的な支援をいただくことが不可欠です。まもなくスタートする「茨城大学社会連携事業会」の趣旨について広く地域の方々から広範なご理解とご協力を得るためにも、私たちは地域から頼りにされ存在感のある大学をめざす必要があります。茨城大学の発展のためにぜひご理解、ご支援を賜りますよう心からお願いして就任の挨拶といたします