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「中国少見」 −西南地域の少数民族の情景− 草間徹雄 写真集

2012年の「県南同窓会」に参加頂いた、桐原孝之氏から、定年後に写真家として歩み始めた同窓・草間徹雄君の写真集」です!と贈って頂いた。

 

岩波ブックセンターの著者インタビューによると

草間 徹雄 プロフィール 
 中国・インドを中心に撮影活動を進めている。日本写真協会会員。
 個展「中国少見─青海省・貴州省・広西チワン族自治区の情景─」(2010年)
 個展「異郷・─中国青海省チベット族の祈り─」(2010年)
 個展「異郷・ 日々是好日 ベトナム最北部 山村の暮らし」(2011年)
 三十年にわたって中国やアジアの人々や風景を撮り続けてきた。
 私は三十歳の頃から中国を中心とするアジアの山村に出かけて、人々の暮らしぶりを撮影し続けてきました。中国雲南省や江南省からチベットに至るまでの地域が中心です。中国以外にもインドやパキスタン、ベトナムなどさまざまな国々の人々を訪ねてきましたね。これまで出かけた回数は五十回以上。一年に二、三回は撮影旅行をした計算になります。
 当時の中国は本当に煤けたような世界でしたが、ここ数十年の開発によって海岸部は信じられないくらいの変貌を遂げてしまいました。しかし、内陸部にはまだまだ個性的な木造建築や、季節ごとの祭礼や宗教行事、見たこともないような髪型や色彩あふれた衣装が残されています。山ひとつ違うだけで、これだけ変わるのかと思うほどの変化があって、私の目を惹きつけてくれるのです。こういう風景は、きっと日本でも昔身近にあった世界なのではないでしょうか。だからこそ、見たこともない世界なのに誰でも懐かしい風景と感じてしまうのでしょう。
 異郷の世界での自分の立ち位置を写真にして残していきたい
 昨年私は、神保町(ギャラリー福果)と新宿(東京都健康プラザハイジア)の二カ所で、これまで撮影してきた写真の中でも比較的新しい青南省・青州省・広西チワン族自治区の情景をまとめて個展を開きました。二回目の個展だったのですが、たくさんの方がご来場くださり、「人間の尊厳を感じた」「いつまでも伝統を守っていってほしい」といった感想を書いてくれました。「できれば写真集がほしかった」という声に押されて、今回の写真集を出版することになったわけです。
 今回の撮影のテーマは、主に四つあります。「風景と生活」、「祭りの衣装」、「村の生活」、「宗教行事」です。中国は多民族国家であり、漢族以外の少数民族は55を数え、全人口の8、4%を占めるといわれているのですね。とくに西南の各省に多くの少数民族が住んでいます。青州省にはミャオ族・ブイ族・トン族、青南省にはチベット族・回族、広西チワン族自治地区にはトン族という具合です。質素ではありますが、彼らの伝統的な生活を見ていると、人間のあるべき姿をもう一度考えたくなりますね。
 写真集のタイトルは、「中国少見」としました。これは中国の風景や人々の生活を見てほしいという願いから名付けたのですが、見方が狭いという意味も含まれています。つまり私にとってまだまだ中国世界の一部を切り取ったに過ぎないということです。