県南同窓会へ  水交会へ

文理学部9回生(S36年卒)の小松崎明氏から、取手山の会の皆さんとキナバル山への登頂の際のレポートを頂きましたので、ご紹介します。

東南アジア最高峰

 小松崎明

キナバル山の全景・コタキナバルのホテルより撮影
2009-11-12〜2009-11-16
by 取手山の会 近江谷桂二(L) 熊谷 長


東南アジア最高峰・キナバル山(4,095m) 登頂

日  程   平成21年11月12日(木)〜11月16日(月)5日間(標記の毎日新聞旅行社ツアーに参加)
参加人員  近江谷桂二(L)、 熊谷 長、 小松崎明(記録)3人
行  程   取手 →成田空港 →コタキナバル市 →キナバル山公園本部 〜ラバンラタ・レストハウス(泊)〜 キナバル山頂 
        〜ラバンラタ・レストハウス(泊)〜 公園本部 →コタキナバル市内(ホテル泊)→空港 →成田空港 →取手

第1日目 11月12日(木)  成田空港よりボルネオ島へ

取手発9時50分 近江谷車に3人乗車、成田空港へ向かう。集合時間11時30分。成田発 13時30分のマレーシア航空にて、一路、ボルネオ島のコタキナバルへ。コタキナバル着18時35分(現地時間17時35分)・・時差1時間(以後、現地時間表示)

 キナバル公園は、マレーシアでは初めて、2000年12月世界遺産に認定された754平方キロの壮大な広さ、シンガポールより広い公園とのことである。私たちは久し振りの海外登山である。熊谷氏は初めて、近江谷氏はネパールのトレッキング以来の同行である。両者は旅慣れており、また、旅行社からの装備品案内なども丁寧に案内とアドバイスがあって今回の山行は初心者でも不安なく参加できるよう手配されていた。                                                           
 ビバリーホテル

 搭乗機は予定時間にキナバル空港に到着、ガイド付き大型バスの出迎えを受けて全26人(うち大阪組6名、添乗員4名)は宿泊先のビバリーホテルに向かう。途中で行動中の非常食などを購入のため食品スーパーに立ち寄る。日本のそれと大差ない品揃えだった。ホテルにチェックインし8時15分過ぎに夕食のため集合し、徒歩15分のところにある繁華街(Asia City)の海鮮料理店(Evening Food Stall)に案内された。その規模の大きさにびっくりである。大きなドームの周りを数十軒の料理店が取り囲み、中央広場が会食の場所。漢字の看板や活魚槽あり懐かしい。 10人が座れる円形のテーブルを囲み思い思いの注文をし、たらふく食べ満足した。食後は同じ道をまた徒歩で帰宅。11時前に就寝。部屋はツイン+エキストラベッドの3人部屋なるもゆったりとして快適であった。

第2日目 11月13日(金)晴 キナバル山登山・ラバンラタ・レストハウス(3,352m)へ

コタキナバル6:10発―休憩地(7:50-8:15)−公園管理事務所(8:30)― 発電所(9:20)〜 登山ゲート(9:30発)〜 ラバンラタ・レストハウス(16:00着・泊)
5時15分モーニングコール、5時半朝食、6時10分専用バスにて一路キナバル山登山基地の公園本部(1,554m)へ向けてガイド付き大型バスで出発した。
コタキナバル市街から平常辿るルートは83q。ハイウェーや舗装された道路できれいな景色を眺めながら行くと、2時間後にはキナバル公園管理事務所の入り口に到着する。途中の休憩所では大きな駐車場とお土産屋さんが沢山あり、熱帯樹林のはるか北方には目指すキナバル山の雄姿が晴れた雲間に奇怪な山頂を現わしていた。8時半に公園管理事務所に到着した。添乗員が入山手続きをし、予約したランチパック(サンドイッチ、唐揚げ、ゆで卵、リンゴ、ジュース、水ボトル)を受け取る。参加者はあらかじめ飲料水を用意済のためジュースと水を辞退する人が多かった。ここよりシャトルバスに乗り換え4.5キロ、10分程で登山口(1890m)に到着した。
天候は晴れ、無風の絶好の登山日和である。好運に感謝。
10時過ぎに登山開始。大阪組は一足先に出発。東京発組16人はガイド4人が付き、一応3班態勢で出発した。その後は体力差や何やらで適当な流れになった。登山道は今夜の宿まで6q(約5時間)、木の根っこのコブでできた階段状の急な登り、蘭が木々にまとわり付き、霧が立ち込める苔むした世界へと進んで行く。道はよく整備されており、略30分(1k、高度差300m)の距離感覚でシェルター(休憩所)があり、水と水洗トイレが完備されていた。至れり尽くせりの状況である。入山者は1日200人に制限があり、この時間行き交う人は少ない。ガイドは地元の種族で英語、片言の日本語を話し登山者の体調を気遣いながら、決して急かせずトップとラストを守りながら安全登山をガイドしてくれた。登山は30分ごとに15分の休憩のスタイルで山小屋ラバンラタ・レストハウス(3300m)までは5〜6時間の距離をゆっくりと登った。登山口では晴れていたが途中の熱帯林の中では濃い霧が山間にあり視界は無かったが雨にはならず、大汗をかきながらの道中であった。
レストハウスには16時に到着、最後尾は30分の遅れであった。略想定通りである。途中で道端の蘭の花、巨大なうつぼかずらに出会うと写真撮りに忙しく登山列が乱れたが、添乗員も良く心得ており急かせず程良い休息の時間になって、遅れ気味の人には安全な登山となったようである。グループの最後が小屋に到着後、間もなく例のスコールがやってきた。
一時的には猛烈な雨量であった。この雨は結局夜半まで続いたようである。


   登山ゲート                                 賑わうシェルター                           ラバンラタ・レストハウスに到着

レストハウスは3階建て、78人収容、2段ベッドの相部屋で、ツインベッドルームも見かけた。温水シャワー有り、快適な小屋(ホテル?)である。飛び交う言葉はマレーシア語、中国語、英語等多様で国際色豊かであった。夕食は5時半より、食事は朝夕ともバイキング形式で、中華風が主であり味付けは違和感なく美味であった。米はやはりパサパサでいまいち、私はパンを選んだ。付近のレストハウスの宿泊者は食事無しのため、当ハウスの夕食を食べに大雨の中を往復するという気の毒な経験を強いられたようだ.
夕食後、添乗員より明日の行動予定の説明あり。キナバル登山は通常1泊2日でできるが、我々は2泊3日の悠々登山なので通常2時スタートを4時半に遅らせる。それでも12時までには頂上を踏んでゆっくりと帰着できますと。したがって、明日の日の出は大岩壁の斜面で迎えることになりそうだ。

第3日目 11月14日(土)晴  キナバル山頂(ローズピーク4095m)へ アタック

ラバンラタ・レストハウス(4:30発)〜サヤサヤヒュッテ(6:25‐6:40)〜山頂ローズピーク(8:30−9:20)〜サヤサヤヒュッテ、チェックポイント(10:20)〜ラバンラタ・レストハウス(11:30着)
 今日の行程は頂上・ローズピーク(4095m)までの2.8km、標高差800mの往復である。
 サヤサヤ小屋(3661m)までは1.5時間、樹林帯を行く。サヤサヤ小屋には公園のチェックポイントがあり、個人別の登山カードがチェックされた。許可者が通過したことの確認である。これは下山後に登山証明書の発行につながる。ここからローズピーク(Low’s Peak 4095m)までは巨大な一枚岩を約70分、登ることになる。ただしこれは標準タイムであり個人差が出るところであった。日の出は5時50分、快晴の雲海上に真っ赤な太陽がでた。

 
    感動の日の出                     一枚岩上で初日を迎える

 直径4cm位の太いロープが張ってある1枚岩の岩壁上で見るのはスリルがある。幸い風は無く気温も15度くらいあり、それなりの防寒対策はしているが寒さは感じない。さすがに熱帯である。しばらくの間 感動を胸に、カメラに、収めて6時10分過ぎにいよいよ最後の頂上アタックが始まった。この岩壁はラバンラタ小屋の背景に聳えていた例の大岩壁である。出発前に、下から見てどの辺を登るのかと添乗員に聞いたが、とてもルートがあるとは思えない急な狭い道がロープ沿いにあったのである。7時40分ころ頂上まで0.8km(3900m)のところに到着。あたり一面は一枚岩のスラブで左右には4000m超の岩峰が林立する奇怪な山頂、キナバル山の頂が眼前に広がっていた。見た目には優しいが空気は薄くなり、体力差によって今までの隊列は乱れてきた。頂上への到着は早い人は8時半までに、以後次々と登頂者が続き、最後尾の人は約40分の遅れで全員が登頂を達成した。

  
ドンキーイヤーズピーク 4055m                 一枚岩のスラブ道                   セントジョーンズピーク 4097m

 快晴無風の天候でツアー参加者が最後の登頂者を待ち受け、添乗員・ガイドとともに祝福した感動の一瞬であった。周囲360度の眺望を満喫、コタキナバル市のある海岸線もくっきりと見渡せた。
9時20分帰路に就いた。帰路はグリップの利いた一枚岩をしっかり踏んでガイドに従い、朝来たルートをたどりゆっくりと安全第一に下った。時折厚い霧が一帯を覆い天候の急変かと思うがほどなく晴れ間がやってきたりを繰り返しているうちに先ほど降ったらしい降雨の跡があり、幸い私たちの行動中は全く降られずに11時30分にラバンラタ・レストハウスに帰着できたのは幸いであった。最後の下山者数人を待って12時半よりバイキングによる昼食を済ませた後、新たな登山者の到着で賑わうロビー兼食堂で思い思いに時を過ごしくつろいだ。  以後  12:30 昼食、15:00テイータイム、17:00−19:00デイナータイム、 就寝

第4日目 11月15日(日)晴    下山  そして コタキナバル市へ

ラバンラタ・レストハウス(6:00朝食、7:00発)〜 登山口・テインポホンゲート(11:00)― キナバル公園管理事務所(11:30着、昼食 12:45発)―バス− 休憩所 ―コタキナバル市(16:00)―ホテル(17:00) 19:00より夕食、22時帰着、23時就寝
 今日は下山日、ゆっくり起床し6時に朝食、7時出発と説明あり。全員元気に集合しストレッチをして集合写真を撮り、定刻に下山開始。天候は晴れ。途中からは登山口の公園事務所周辺の建物が視野に入り懐かしくもあり、旅の終わりを思わせられた。一昨日、道草を食った、うつぼかずらのあった所はこの辺かなと思いながらも、今日はサラッと通過して何だか変な気持。参加者は快調な足取りで進むと公園整備の資材を担いだ労働者?と頻繁に出会った。それぞれが精悍な青年で仕事が楽しそうに見えたのは頼もしかったね。登山ゲートまでは下り所要タイム2時間半のところゆっくりと4時間かけて歩き、11時に到着した。途中から小雨模様ではあったがここに着いたら土砂降りの雨、しかしシャトルバスで管理事務所に着くとまた晴れた。カフェレストランでバイキング昼食。ビールで乾杯し無事の登頂と下山を祝した。ここで添乗員より参加者全員に個人名入り登頂証明書が発行されたことが伝えられた。各人には下山後、ホテルで手渡しの予定と報告あり。皆さん登頂で満足の笑顔。周辺には家族ドライブ等の観光客が沢山来ておりキナバル公園散策のようだった。

 
ローズピーク 4095m                     漁師村で・添乗員と(右2人)

 昼食後、専用バスでキナバル市へ向かう。途中の休憩所で私はTシャツのお土産を購入しコタキナバルには16時に到着した。バスは市内で所定のショッピングセンターに横付け、全員思い思いの買い出しをした。サバテイーが売れ筋らしい。いわゆるスーベニアショップだが特産の錫製品などは結構高価で目の保養である。ホテルには17時にチェックインし、18時過ぎに最後の晩餐は専用バスで海鮮鍋レストラン「漁師村Fishery’s Village」に案内された。水上舞台のある豪華なもので、食事は海老、カニ、魚肉錬りものなどが盛り沢山のしゃぶしゃぶ鍋で、食べきれないほどだった。舞台では伝統衣装をまとった民族踊りが1時間にわたって披露され、観光客の飛び入りバンブーダンス等で堪能してお開きとなった。これはオプションでなくセット料金であったのは感激であった。当日誕生日という参加者よりワインの差し入れありテーブル仲間でいただき祝福した。

第5日目 11月16日(月)晴   帰国

 本日は帰国日、快晴で朝から暑い。ホテル8階の部屋からは雄大なキナバル山の雄姿が望まれ、熊谷氏と沢山の写真を撮影できたのはラッキーであった。
 7時半より朝食。10時チェックアウト、10時半専用バスでキナバル空港行へ出発の予定を確認してから近江谷、熊谷氏と3人で早朝散歩に出かけた。
ブーゲンビビレアの咲く生垣等、色鮮やかなウオーターフロントを約1時間、30度の気温のなか大汗をかいて散策した。静かな海、船溜まりの漁船、人気のないレストランに旅の終わりの旅情を感じることができた。
 帰国便は予定の12時過ぎに出発し19時に成田へ到着した。無事の山旅をリードした添乗員にお礼をしてお別れし、21時には各自帰宅できた。楽しかった旅、仲間に感謝! 完

     

      
     コタキナバルのをーたウォーターフロントにて